遺産分割調停の実態から見る「なぜもめるのか」──不動産と遺言書の重要性

遺言・相続

1️⃣ 遺産分割調停は「一般家庭の問題」

最高裁判所が公表する 司法統計年報(家事編・令和7年)第52表 によると、 家庭裁判所で扱われた遺産分割調停事件のうち、 遺産総額が5,000万円以下のケースが約77〜78% を占めています。

区分件数割合
1,000万円以下2,938件約35%
5,000万円以下3,519件約42%
合計(5,000万円以下)6,457件約77.6%
総数8,321件100%

つまり、遺産分割の約8割は「一般的な家庭」で起きていることがわかります。 「資産家だけの問題」ではなく、誰にでも起こり得る身近なトラブルです。

2️⃣ 相続財産の約80%は不動産を含む

同じ統計表の「遺産の内容別」欄を見ると、 土地・建物を含む遺産が全体の約80% に達しています。

内容件数割合
土地・建物を含む遺産約6,600件約79〜80%
現金・預貯金のみ約1,400件約17%
その他約300件約3%

不動産は分割が難しく、評価額の算定や売却・代償金の支払いなどで対立が生じやすい資産です。 この「分けにくさ」が、遺産分割調停の主因になっていることが統計からも読み取れます。

3️⃣ なぜもめるのか──数字が示す構造的要因

  • 不動産が主な遺産:物理的に分けられないため、誰が住むか・売るかで対立
  • 現金が少ない:代償金の支払いが困難になり、調停が長期化
  • 相続人の生活状況の差:居住・経済状況の違いが感情的な対立を生む
  • 遺言書がない:法定相続分に従うしかなく、柔軟な分割ができない

4️⃣ 対策──遺言書が「もめない相続」の鍵

遺産分割調停の約8割が不動産を含むことを踏まえると、 遺言書の有無がトラブル防止の決定的要素になります。

✔ 遺言書がある場合

  • 相続人間の合意形成が容易
  • 不動産の処分方針を明確化できる
  • 調停・裁判に発展する可能性が大幅に減少

✔ 遺言書がない場合

  • 法定相続分に基づく分割協議が必要
  • 不動産の扱いを巡って感情的対立が起こりやすい
  • 結果として調停・審判へ進むケースが増加

5️⃣ 行政書士ができる支援

行政書士は、遺言書作成や財産目録の整理を通じて、 「もめない相続」への予防的支援を行うことができます。

  • 遺言書作成サポート
  • 相続人・財産調査
  • 分割協議書の作成
  • 不動産評価・登記専門家との連携

🔗 一次情報リンク(出典)

この統計は、「遺産分割は誰にでも起こり得る」ことを数字で示しています。 不動産を含む遺産が多い日本では、遺言書の準備こそが最も現実的なトラブル予防策です。