相続した実家を売却したいと思っても、
「古い家だから解体しないと売れない」
というケースは少なくありません。
しかし、
- 解体費用が高額
- 遠方に住んでいて管理が大変
- 解体してから買主を探すのが不安
という理由で売却が進まないこともあります。
実は、令和6年(2024年)から相続空き家特例が改正され、以前より利用しやすくなりました。
今回は、改正のポイントについて解説します。
相続空き家特例のおさらい
相続空き家特例とは、
亡くなった方が住んでいた住宅とその敷地を相続し、一定の条件を満たして売却した場合に、
譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度
です。
売却時の税負担を大きく軽減できるため、多くの方に活用されています。
令和5年までのルール
従来は、
住宅が旧耐震基準のままの場合、
- 耐震改修を実施する または
- 建物を解体する
という対応をしたうえで売却する必要がありました。
つまり、
「売主が先に解体しなければならない」
ケースが多かったのです。
解体費用が問題になることも
木造住宅の解体には、
立地や規模によっては100万円を超える費用がかかる場合があります。
また、
- 売却できるか分からない
- 空き家管理も続いている
- 固定資産税も負担している
という状況で解体費用まで用意することは、大きな負担だったといえます。
令和6年改正のポイント
令和6年1月1日以降の譲渡からは、
売却時点で解体や耐震改修が完了していなくても、買主が一定期限内に実施すれば特例の対象となる場合があります。
これにより、
「建物付きで売却し、購入者が解体する」
という取引がしやすくなりました。
空き家所有者にとっては大きな制度改善といえるでしょう。
具体的にはどう変わったのか
改正前
売主が解体
↓
売却
↓
特例適用
改正後
建物付きで売却
↓
買主が解体または耐震改修
↓
特例適用
という流れも可能になりました。
これによって、
- 解体費用の先払い負担
- 売却までの期間
- 管理の手間
などを軽減できる可能性があります。
相続人が3人以上の場合の変更点
もうひとつの改正ポイントがあります。
令和6年1月1日以降の譲渡については、
相続人の数が3人以上の場合、
控除額は1人あたり2,000万円
となります。
従来と異なる取り扱いになるため、複数の相続人が関わる案件では注意が必要です。
売却契約時に注意したいこと
制度が利用しやすくなった一方で、
買主による解体や耐震改修を前提とする場合は、
- 契約内容
- 工事実施の時期
- 必要書類の保管
などが重要になります。
税務申告時に必要な資料が不足すると、手続きが複雑になる可能性もあります。
売却前の段階から、不動産会社や税理士と十分に相談しておくことが大切です。
行政書士の視点
実務では、
「解体費用が用意できないので売却を諦めていた」
という方も少なくありません。
今回の改正により、建物付きのまま売却できる可能性が広がったことで、空き家対策としても利用しやすい制度になったと感じています。
ただし、特例の適用には細かな要件がありますので、早めに情報収集を行うことをおすすめします。
まとめ
令和6年改正によって、
- 買主が解体するケースでも利用しやすくなった
- 売主の費用負担が軽減される可能性がある
- 複数相続人の場合の控除額に変更がある
など、相続空き家特例は以前より活用しやすい制度となりました。
相続した実家の売却を検討している方は、最新の制度内容を確認しておくとよいでしょう。
次回予告
次回は、
「横浜市で『被相続人居住用家屋等確認書』を取得する方法」
について解説します。
相続空き家特例を利用する際に必要となる確認書の取得手続や必要書類について、横浜市の制度を参考にご紹介します。
参考資料(一次資料)
※本記事は公表されている法令・行政資料を基に作成しています。個別事案における税務上の適用可否については税理士へ、相続手続や必要書類の整理については行政書士へご相談ください。
