前回は、相続した実家を売却した際に利用できる「空き家3,000万円特別控除(相続空き家特例)」の概要についてご紹介しました。
この制度は節税効果が非常に大きい一方で、
「相続した家なら何でも対象になる」
というものではありません。
今回は、特例を利用するための主な要件について確認していきましょう。
対象となる家の条件
まず、この特例の対象となるのは、亡くなった方(被相続人)が住んでいた住宅です。
ただし、次のような条件があります。
昭和56年5月31日以前に建築された家屋
対象となるのは、原則として昭和56年5月31日以前に建築された住宅です。
これは、いわゆる「旧耐震基準」の住宅が対象とされているためです。
比較的新しい住宅については、この特例の対象外となります。
区分所有建物は対象外
マンションなどの区分所有建物は原則として対象になりません。
そのため、
- 一戸建て住宅
- 敷地付き住宅
が主な対象となります。
被相続人が一人で住んでいたこと
この制度では、
相続開始の直前まで被相続人が一人で居住していたこと
が重要な要件になります。
例えば、
- 子どもが同居していた
- 親族と同居していた
という場合には、制度の適用が難しくなるケースがあります。
実際の適用可否については個別の事情によって異なりますので、慎重な確認が必要です。
老人ホームに入所していた場合は?
最近よく見られるケースが、
「親が老人ホームに入所していた」
というものです。
この場合でも、一定の条件を満たせば特例の対象となる可能性があります。
例えば、
- 要介護認定等を受けていた
- 入所前まで自宅に居住していた
- 入所後に賃貸や事業利用をしていない
などの要件があります。
そのため、
「施設に入ったから対象外」
とあきらめる必要はありません。
相続後に賃貸してしまうとどうなる?
注意したいのが相続後の利用状況です。
特例の適用を受けるためには、一定期間、
- 居住
- 事業利用
- 賃貸
などが行われていないことが求められます。
空き家の維持費を補うために短期間だけ貸した場合でも、特例の適用に影響する可能性があります。
売却を考えている場合は、先に制度の要件を確認しておくことが大切です。
売却期限にも注意
この特例には期限があります。
相続した空き家は、
相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
に売却する必要があります。
例えば、相続手続や遺産分割協議が長引くと、気付かないうちに期限が近づいていることもあります。
早めに売却方針を検討することをおすすめします。
よくある誤解
相談の中で比較的多いのが次のような誤解です。
「マンションでも利用できる」
原則として区分所有建物は対象外です。
「相続人が住んでも大丈夫」
適用要件に影響する可能性があります。
「とりあえず貸してから売ればよい」
賃貸利用によって適用できなくなる場合があります。
制度を利用する場合は、売却までの流れを事前に確認することが重要です。
まとめ
空き家3,000万円特別控除は非常に有利な制度ですが、
- 建物の種類
- 建築時期
- 被相続人の居住状況
- 相続後の利用状況
など、さまざまな要件があります。
特に、
「老人ホームに入所していた」
「親族が同居していた」
といったケースでは、資料を確認しながら慎重に判断する必要があります。
まずは対象となる可能性があるかを早めに確認しておくことが大切です。
次回予告
次回は、
「令和6年改正で何が変わった?買主が解体しても特例が使えるようになりました」
をテーマに解説します。
近年の制度改正によって、相続空き家特例は以前より利用しやすくなっています。
改正ポイントを分かりやすく整理してご紹介します。
参考資料(一次資料)
※本記事は公表されている法令・行政資料を基に作成しています。個別事案における税務上の適用可否については税理士へ、相続手続や必要書類の整理については行政書士へご相談ください。
